■2007年8月14日(火)
■行程 朝日小屋テント場→朝日岳→吹上のコル→犬ケ岳→栂海小屋(泊)
朝日小屋テント場→朝日岳→吹上のコル→蓮華温泉→平岩→白馬→自宅
3時起床。
鶏肉雑炊を作る。
ちょっと味付けが薄かったみたい・・・あまりおいしくない。
出発前に朝日小屋のゆかりさんに挨拶しようと思い、小屋の中を探してみたけど、見つからなかった。残念。
また今度。
朝一番から朝日岳への急登。
わりと足がすんなり出ることに驚く・・・“これなら栂海行けるかも” なんてことも頭をよぎったりする。
“私ッたら、調子いいね”
朝日岳の山頂・・・虫の大群が、私達の山頂での長居を阻む。
とにかく、手をフル稼働するだけでは収まらず、頭を振ったり、クルッと身体の向きを変えたりしながら、虫を寄せ付けないように努力してはみるが・・・全て徒労。
こちらのディフェンスよりも、虫のオフェンスのほうが数倍上だったのだ。
山頂を辞するのが一番の良策っということがやっとわかった。
なだらかな尾根を下る。
前方には栂海新道への稜線が観える。
すごく複雑な気分。
私はいけない選択をしてしまったかのように、罪の意識を感じてしまった。
あの柔らかな稜線を歩けないのは私のせい。
自己嫌悪
吹上のコルに着くと、その思いは更に膨らんだ。
赤ペンキで「日本海へ」っと記された岩が私を誘うから、今日は栂海までいけるかも・・・ってそんな気持ちになってしまった。
でも、さすがに私から口に出すことはできない。
だって昨日「行けない」って言ってしまったんだから。
この意思の浮揚が私の弱さを現しているよな~。
我ながら嫌になる。
さて、吹上のコルでリベンジを誓い、五輪尾根を降りていく。
途中、鳥肌級の恐怖を味わう・・・・ぬかるんだ木道の通過である。
まず、私達を颯爽を抜かしていったおじさまがスッ転んだ。
・・・心で笑った。
Kさんも続けとばかりに(?)スッ転んだ。
・・・アァ~見てらんない
私も二人の哀れな姿を見ていたので、細心の注意をはらってぬかるんで、傾いた木道を歩いた・・・
なのにスッ転んでしまった。
不注意でスッ転んだら納得いくけど、あれほどまでに注意しておきながらスッ転ぶとは・・・
ぬかるんだ木道 侮るべからず。
五輪の森を過ぎてからは、なんとなく高原のようなところ。
空は青く澄んでいて、緑は陽に照らされ煌いている。
なんかハイジやペーターがいそうな雰囲気。
・・・なのに暑い。
やっぱりここはスイスじゃなくて日本なんだと気づかされた。
足の裏以外、体の全ての面に陽があたっている。
直火焼き
三角点のあたりで、下から登ってきた人が、苦しそうに「この先日陰ありますか?」っと尋ねてくる。
「五輪の森まで日陰は一切ありませんよ」っとの答えに、絶望の色を見せる。
さもありなん
下っている私でさえもこの暑さにヘトヘトなのに、登りではさぞ辛いでしょうね。
この先も頑張ってね~。
カモシカ坂あたりから、私の歩く速度が遅くなってくる。
疲れが出てきたみたい。
“アァ~やっぱり栂海は無理だったんだ。転進して正解だ。” このときになってそう思った。
白高地沢に到着。
すごくホッとした気分。
地形が開けると、心までほぐされるようで、とても気持ちいい。
ここでも沢の水をガブガフ飲んだ。
休憩中は元気が急上昇するんだけど、いざ出発すると急にブレーキがかかる。
歩みが超~遅い。
もう1本沢を渡ると恐怖の登り。
転進の為地形図がないので登山地図を見ると等高線が約7本くらいある・・・・
ゲゲ~140メートル登るのぉぉぉぉ
ここに来ての登りは辛い。
ここに亀がいたら、きっと私は抜かされているはず。
それほど遅くしか歩けないのだ。
後から来る人に道を譲る振りして休憩・・・のつもりが後ろの人も私を抜かす気もなく、すぐ下で休憩している。
みんな辛いんだ。頑張ろう。
木道が出てきたら頃に、登りも終わり、そこは兵馬ノ平という湿原。グルーッと周遊できるようになっている。
登りが終わってホッとしたのも束の間、ここの湿原は暑かった。
暑くて苦しい。
顔を制限なく流れ落ちる汗を拭く気にもなれない。
湿原の遊歩道が終わったら、またまた恐怖の登り・・・等高線約4本だぁぁ。
もう疲れ果てて、わずかに残る意識だけで歩みを進めている感じ。
ここの登り、とにかく辛かった。
で、やっと舗装道に出たかと思ったら、蓮華温泉ロッヂは遥か彼方。
それも登り。
ア゛ァ゛~もういや。
誰か蓮華温泉をここまで出前して・・・
蓮華温泉到着。
心底疲れた。
五輪尾根は気が遠くなるほど長いぞ~。
温泉セットは車にあるので、ここでは温泉に入らず、車に乗ってから温泉に行く予定だったが、みるとバスの時間まで1時間ほど余裕があったので、汗だけ流しにお風呂に入りに行く。
同じ行程を歩む人たちと、抜きつ抜かしつしながら、挨拶を交わし、励まし励まされながら歩みを進める。
この些細とも思える係わり合いが、とても大切に思える。
今回はすごく辛くて苦しい山行だったけど、その思い出といえば、なぜだか美しさだけが残った。
いろいろ配慮してくださったKさんに心から感謝
美しい山々に感謝
そして、同じ行程を歩み、言葉を交わしてくださった方たちに感謝
■写真はKさんが提供してくださったものです。ありがとうございました。
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関連記事
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2007年 夏休み山行 ■ 第一章
2007年 夏休み山行 ■ 第二章
2007年 夏休み山行 ■ 終章
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残念でしたね。でも山は逃げませんから、また行く機会はあるはずです。
大丈夫!時間さえあれば、歩いていればいつかはたどり着くんです。
私も行ってみたいな。朝日も行ってみたいし、なによりも白馬から雪倉に
続く稜線を歩いてみたい!!
投稿情報: ナカムラ | 2007/08/23 22:43
■ナカムラさん
絶対におすすめ!!
メチャクチャいいから。
私毎年行きたいと思ってしまいましたよ。
でもあちかった。噂では44度くらいあったらしいです。
詳しくは今日のエントリーで・・・
ナカムラさんの剣での写真、可愛かったよ。
投稿情報: Licca Channel | 2007/08/24 09:01
いつも楽しく拝見しています。来月同じコースを行く予定なので今回は特に関心を持って読みました。やはりなかなか厳しいコースなのですね。9月涼しくなると良いのですが。
投稿情報: Cherry | 2007/08/24 20:27
■Cherryさん
コメントありがとうございます。
このコース、お奨めですよ。
とにかく山の深さに惚れました。
最終日、最後の最後に登り返しが2度あるのが辛いところですが、がんばってくださいね。
残暑が厳しくないことを祈っています。
投稿情報: Licca Channel | 2007/08/25 10:27