2007年12月30日(日)~31日(月)
団長、ヨッピー、miyano、ぬりかべ、Licca
1日目 西沢渓谷駐車場→徳ちゃん新道→木賊山→甲武信小屋(泊)
2日目 小屋→甲武信岳(2475㍍)→小屋→木賊山→徳ちゃん新道→駐車場
■心は右往左往
「年末は甲武信に行こう!!」
っと言い出したのは、この私である。
しかし、年末の天気予報は
この冬一番の寒波が押し寄せ、全国的に荒れた天気になる見込み
っと、山を登る気を削ぐような予報を伝える。
「天気が荒れるんなら温泉へ直行でもいいな~」っと思っていたら、当日の天気は図らずも快晴である。
西沢渓谷の駐車場で身支度している時も、「山登るのやめて温泉」っという思いが、メンバー各自の胸にあった(はず)。
でも、ここでは「温泉へ」っという決断には到らなかった。
駐車場出発し、徳ちゃん新道に入るまで、思いのほか時間がかかった。
たぶん、「山より温泉」っという思いが、足を引っ張っているんだろうな。
尾根を歩き始めた頃から、雲行きが怪しくなってきた。
そして、雪。
しばらくして、風。
「天気予報では今日荒れるって言ってたよね。温泉でもいいよ。」
「みんなもう十分汗かいたよね」
皆口々にそう言う。
団長以外、みんな内心は「温泉」に行きたそうだ。
でも人の心を揺さぶるような事を言っておいても、姑息にも決定権は下さない。
だって、ここで「温泉に決定!!」なんて言い出し、皆が同意してくれても、決定を下した人間が当分の間この件でネタにされるに決まっているのだから。
なので、誰かが決定を下し、「しかたなくそれに同意する」っという立場を取りたはずだ。
そこへmiyano氏が「分岐までは行ってみようよ」っというので、みなそれに従った。
雪は締まっていて、ことのほか歩きやすい。
しかし、分岐手前あたりからは、凍結していていた。
アイゼンを履こうにも、適所がない。
慎重に歩みを進めて、ようやく分岐に到着した。
■決心
しかし、待望の
「ここから引き返して温泉に直行だー!!」
っという言葉は、誰の口からも出ず、みな黙々とアイゼンを履いている。
こうなったら覚悟を決めるしかない。
よーし、甲武信へ行くぞー!!
この言葉↑、ここまで来ておいて、改めて言うようなセリフではない。
それでも「温泉」への思いを断ち切った私には、意思を固める為にも、敢えて宣言しておく必要があったのかもしれない。
当初から意思が薄弱だった影響なのか、身体が重い。
それでも急登は果てしなく続く。
石楠花のトンネルを過ぎ、シラビソの森をやり過ごし、ようやく稜線に到着した。
木賊山を下り、ザレ場のあたりからようやく甲武信が望めた(冒頭の写真)。
■ここにきてようやく
風は強い。
それでも、予報ほど天気は悪くない。
ここにきてようやく「温泉にしなくてよかった」っと思えてくる。
15時半に小屋に到着。
北爪さんは荷揚げで留守だったが、しばらくして戻ってきた。
■極寒
やはりこの冬一番の寒気が入ってきているらしく、小屋のストーブの前に陣取っても、一向に身体は温まらない。
食事の時も、少しでもストーブに近い場所をキープ。
北爪さんが荷揚げした「秩父錦」の樽酒を振舞われたが、下戸のため急性高山病(※)になることを恐れ、代りに薄ーいホット梅酒を飲んで身体を中から温めた。
バクバクつまみを食べた。
私にはちょっと辛かったカレーも平らげた。
トイレだって、できるだけ我慢した。
それだけ努力して身体を温めることに専念しても、寒波は小屋を襲い、その中の人々をも寒さで苦しめた。
こうなったら寝るしか手段は残されていない。
消灯時間には素直に布団入った。
それでも寒かったので、余っている毛布を1枚足したら、夢心地で眠れた。
夜中の2時に何故だかMy携帯がメールを受信。
着信音の「ロンドン橋おちた」が静まり返った小屋内で寂しく響いていた。
つづく
(※)急性高山病 白熊用語で「急性アルコール中毒」のこと。語源は甲武信小屋用語の「高山病」を二日酔いと表していることから。
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肩・・・ビンビンに張ってる
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雰囲気が伝わってきます。
誰も温泉と言い出せないことも・・・良く解ります。
>着信音の「ロンドン橋おちた」が静まり返った小屋内で寂しく響いていた。
↑この文章好きです!
投稿情報: じゅんこ | 2008/01/09 09:22
■じゅんこさん
私は人から力をもらうタイプ。
だからどうのこうの言っても、こうやって山に登れているのです。
単独だってら、とうにリタイヤしていましたね。
>この文章好きです!
こう言ってもらえてすごくうれしい。
私にとっての最高の賛辞です。ありがとうございます。
投稿情報: Licca Channel | 2008/01/10 09:02